競馬予想サイトのキャッチコピーには「回収率重視」「的中率重視」「短期間で稼ぎたい人はここ」「万馬券を無料予想で」など、期待感を煽る言葉が多く見られます。競走馬の血統やこれまでのレース実績、騎手の実績などの情報を提供し、スポーツ新聞記者や評論家が出走予定レースを推測するような健全に運営されている競馬予想サイトがある一方で、JRA関係者や厩舎からの裏情報、着順がレース前に決定している、といったような怪しげな誘い文句で詐欺行為を行っているサイトもあります。競馬予想サイトで詐欺被害に遭わないためにはどんな点に注意すべきでしょうか。

ギャンブルに「絶対」「確実」はありません

射幸心（射倖心、しゃこうしん）という言葉、聞き慣れないかもしれません。ギャンブルにハマってしまっている人について語られるときに出てくる言葉です。幸運や偶然で苦労することなく、思いもかけないような利益が得られること期待する気持ちや心理を意味します。例を挙げると競馬で万馬券が当たるかもしれない、宝くじで高額配当を得られるかもしれない、そういった気持ちのことです。競馬の予想をはじめとするギャンブル関連のサイトはこの射幸心を煽っているものが多く見られます。

競馬予想情報にも絶対や確実はないのです

しかし、私どもインサイト法律事務所の記事で何度も解説させていただいているように、ギャンブルに絶対や確実はありません。競馬の予想情報にも絶対や確実はないのです。最近はこうした言葉に対しての注意喚起が行われているため、絶対や確実を期待させるような言葉がたくみに使われています。

「高回収率」「高的中率」「圧倒的な結果」などは絶対や確実を期待させるような言葉です。「安定感」などのあたかも損をしないかのような表現を使う業者もいます。競馬はギャンブルなので安定はありません。こうした業者の言葉に射幸心を煽られ、多額のお金を支払ってしまい、相談にいらっしゃる被害者が後を断ちません。こういった言葉を使っている競馬予想サイトにはご注意ください。

無料情報や無料アプリも気が付くと有料、高額に

会員登録だけで使える無料サイトや予想情報無料、無料競馬情報など、「無料」をうたっているサイトは当初無料でも、有料サービスに誘導し、いつの間にか高額請求というパターンは珍しくありません。もちろん無料をうたっていても安全なサイトや安全なアプリもあります。しかし、残念ながら、無料を強く打ち出しているサイトやアプリのほとんどが詐欺や詐欺に近い運営になっています。無料サイトに会員登録したり、あるいは無料アプリをインストールしたりする場合にはまず運営会社がどこなのかを必ず確認してください。

競馬予想の情報を提供するサイトはECサイトになります。ECサイトが情報販売を行う場合には特定商取引法（特商法）という法律に従ってサイト事業者の運営会社名や店舗運営責任者といった「特定商取引に基づく表記」を掲載しなければなりません。掲載されていない場合には詐欺サイトだと思ってください。また、運営会社が海外の場合にもほぼ間違いなく詐欺サイトや詐欺アプリだと思った方がよいでしょう。

ネット中継のタイムラグを悪用した競馬予想詐欺には要注意！

競馬予想サイトの詐欺行為は悪質化、巧妙化が進んでいます。インターネットで競馬の中継が行われているレースもあります。ネットのライブ中継と実際のレースとでは数分ですが、タイムラグが生じています。このタイムラグなどを悪用した競馬予想詐欺があります。ご注意ください。

地方競馬のライブ映像と的中情報で詐欺被害に

わたくしどもインサイト法律事務所へご相談にいらした神奈川県在住７０代男性の事例をご紹介しましょう。この男性もネットのライブ中継で生じるタイムラグを悪用した詐欺で被害に遭われました。

男性のところにある日突然、競馬予想会社の社員を名乗る人物から電話があり、的中情報を提供すると誘われたのだそうです。電話がきたときにはもちろん信じていなかったのですが、それでもこの人物が熱心に話を続け、しばらくすると、証拠としてこれから行われるレースを的中させると言ってきたのです。指示されたのは地方競馬のLIVE映像でした。

結果は予想通りだったのですが・・・

インターネットでのレース中継が始まると、予想会社は電話の先でレースの流れを説明しながら最終的な結果を言ってきたといいます。レースを見ているとその流れは競馬会社の言ったとおり。結果ももちろんその通りになったため、この予想会社、そして情報は本物だと信じてしまったのです。予想会社を名乗って電話してきたこの人物は来週、高配当のレースがあるがある、と男性を誘いました。情報料を払えば情報料以上の高配当が得られると確信し、多額の情報料を支払ってしまったのです。

男性が見て、本物だと確信してしまったのはネットのライブ中継でした。しかし、最初に解説いたしましたように、実際のレースとネットのライブ中継には数分のタイムラグが生じています。そのため、悪質な競馬情報会社の社員はこのタイムラグを利用して被害者にあたかも的中させることができると信じさせ、高額な情報料を支払わせたのです。もちろん、その後も、男性は支払い続けましたが、情報の的中はありません。ご自身が詐欺に遭われたと気が付き、わたくしどもの相談窓口にいらっしゃいました。

8月には宮崎県児湯郡に住む50代の男性も被害に

宮崎県警の高鍋警察署は今年8月、同署の管内で競馬予想詐欺があったことを発表し、新聞・テレビでこの事件が報道しています。この詐欺事件でも被害者の男性に連絡してきたのは競馬予想会社の営業社員を名乗る人物でした。

「確実に当てることができるレースが存在する」などと誘われ、指示通りにレースのライブ中継を見たところ、その予想が当たったということです。被害に遭われた男性はこの人物から「今年5月20日に開催される競馬レースも必ず的中し、2200万円の払い戻しを受けられる」という話を持ちかけられました。

この人物が証拠と称して、見せたレースのライブ中継と結果から、すっかり信用してしまった被害者の男性は、馬券の配当金や運用のための競馬投資会社サイトに会員登録。当たり馬券の情報提供代として7回に分け現金を合計539万円、指定された口座に振り込んでしまいました。

被害者の男性は、指示された通り、当てることができるという今年5月20日のレースの馬券を買いましたが、当たるはずはありませんでした。男がこの人物に説明を求めたところ、「調査します」という言葉残し、その後は音信不通。警察などに相談し、今回の詐欺が明らかになりました。

この詐欺で使われたレースのライブ中継もわたくしどもにご相談いただいた被害者のときと同じ、タイムラグを悪用したものだと思われます。

競馬予想サイト、情報サイトの詐欺被害に遭わないために

まずご注意いただきたいのは見覚えのない差出人からのメールやメッセージ、迷惑メールは開かないことです。メールやメッセージで勧誘してくる競馬予想サイト、情報サイトは間違いなく悪質なサイトです。そういったメールやメッセージは開かないこと、開いてしまった場合、リンクのURLをクリックしないでください。仮に開いてしまっても、登録など個人情報を入力しなければ問題はありません。

また、今回、ご紹介いたしました、わたくしどもへご相談にいらした競馬情報詐欺被害者の方、ニュースで報道された被害者の方、どちらも携帯電話にかかってきた競馬情報会社の社員を名乗る人物からの電話がきっかけとなっています。見覚えのない電話や非通知の電話にはできるだけ出ない、出るのであれば用心する、競馬などギャンブルを使った投資の電話であれば、詐欺を疑ってください。

競馬予想サイトやアプリの詐欺被害、インサイト法律事務所にご相談を

競馬予想情報サイトやアプリでの詐欺行為は巧妙になり、悪質化しています。用心していても、引っかかってしまった、そういう被害者は少なくありません。もし被害に遭われたことに気が付かれたら、できるだけ早く、警察や法律事務所、国民生活センターなどの相談窓口へ向かってください。わたくしども弁護士法人インサイト法律事務所代表弁護士の第二東京弁護士会所属・大川博俊は競馬予想サイトやアプリをはじめ、競輪や競艇、パチンコなど、ギャンブルの予想情報を悪用した詐欺に遭われた被害者を救済するべく、返金交渉に取り組んでいます。競馬予想の詐欺被害で騙し取られたお金は取り戻せる可能性があります。決して諦めないでください。インサイト法律事務所は着手金無料で対応しております。