「占いだから仕方ない」「悪質サイトかどうかわからない」で終わらせず、どのような場合に法律上の責任追及ができるのかを大まかに整理します。
目次
占いサイトに対する大きく分けて2つの考え方
裁判例や実務解説では、占いサイトの責任追及の枠組みとして、おおむね次の2つの考え方が整理されています。
詐欺による不法行為
・鑑定師が実在しない、あるいは個別鑑定をしていないのに、「個別鑑定している」と装ってポイントを使わせているタイプ。
・典型例として、東京地裁平成30年4月24日判決では、鑑定師が存在しないか、少なくとも個別鑑定を行っていないとして、運営会社と代表者の詐欺による不法行為責任が認められ、支払額全額の賠償が命じられました。
社会的相当性を逸脱した不法行為
・一応「占い」は行われている前提だが、無駄な送受信の反復や不安をあおる勧誘などが行き過ぎで、「社会的に見て許容できる範囲」を大きく超えている、と評価するタイプ。
どちらのアプローチをとるかは、証拠の内容やサイトの実態によって変わります。
「詐欺」として争うケース
どんなときに詐欺になりうるか
論文や判例では、次のような実態がある場合に「詐欺による不法行為」の余地があると整理されています。
・実在しない「鑑定師」「伝説の大物鑑定士」などを登場させている。
・実在しても、利用者ごとに個別の鑑定を行っておらず、テンプレートの使い回しにすぎない。
・サイト側は「あなたのための個別鑑定」「特別な祈祷」を標榜している。
東京地裁平成30年4月24日判決は、
・メール内容が利用者間でほぼ同一であること、
・95人もの鑑定師の一覧・契約・報酬等の客観資料が一切示されないこと、
などを踏まえ、「鑑定師は存在しないか、少なくとも個別の占いや祈祷を行っていない」と認定しました。
その上で、「占いを行うと標榜しながら、実際は占わずに有料ポイントを消費させて利益を得ていた」として、運営会社の行為を詐欺と評価しています。
サクラサイトとの類似
こうした構造は、「芸能人になりすましたサクラ」がメッセージを送り続けてポイントを使わせる出会い系サイトと似ています。
サクラサイトの裁判例でも、
・同一文言の使い回し
・実現しない高額援助の約束
・無意味なメッセージの反復
などを根拠に、運営会社の詐欺的行為が認定されています。
「社会的相当性を逸脱した不法行為」として争うケース
詐欺とまでは言い切れない場合でも、サイトのやり方があまりに行き過ぎていれば、「社会的相当性を著しく逸脱した違法行為」と評価される余地があります。
何がポイントになるか
・無駄な送受信を大量に繰り返させる手口(数字や短文を何度も送信させる等)。
・不安をあおるメッセージや、「今やめると不幸になる」といった言葉で、正常な判断を妨げているか。
・サンクコスト効果や希少性などの心理効果を過度に利用して、高額課金に追い込んでいないか。
・結果として、1年数か月で1,000万円など、常識的な範囲を大きく超える金額を支払わせているか。
対面の占いやテレビ・雑誌の占いと比べると、
・通常は1回いくら、30分いくらで完結するのに対し、
・メール1通1,500円のやり取りが何千回も続く構造自体が、社会通念から見て異常ではないか、という視点が取られます。
裁判例の傾向
占いサイトの不法行為を認めた裁判例の一つは、
・鑑定自体は行われている前提で、
・消費者の窮迫・困惑に乗じて不安をあおり、過大な金員を支払わせた点
を重視して、社会的相当性を逸脱したと評価しました。
一方で、「勧誘文言がそこまで過度とはいえない」「鑑定師が実在しないとまでは証明できない」として、違法性が否定された裁判例もあります。
つまり、このアプローチでは「どこまで行き過ぎか」を、具体的なメッセージ内容や金額、経過に即して丁寧に立証することが重要と考えられます。
消費者契約法による取消しの可能性
占いサイトとの関係は「契約」でもあるため、場合によっては消費者契約法による取消しも検討できます。
断定的判断の提供
・「必ず宝くじの高額当選に導く」
・「この鑑定を最後まで受ければ、一生お金に困らない」
といった、将来の利益を断定的に告げて契約させた場合、消費者契約法4条1項2号の「断定的判断の提供」に該当し、契約を取り消せる余地があります。
不実告知
・実際には個別鑑定をしていないのに、「あなたのためだけに鑑定している」
・鑑定師が存在しない、あるいは実績がないのに、「世界的に活躍」「政治家のお抱え」などと説明する
といった場合、「重要事項」について事実と異なる説明を行ったとして、「不実告知」による取消し(同条1項1号)を構成できる場面もあります。 取消しが認められれば、既に支払った対価の返還(不当利得)を求めることが可能になります。
実務での整理イメージ
実務では、具体的な事案に応じて、次のような順番で検討することが多いとされています。
- サイトや鑑定師の実態から、「鑑定師が実在しない」「個別鑑定がない」とまで言えるか
→ 言える場合は、詐欺による不法行為を中心に主張。 - そこまで言えなくても、メッセージ内容・金額・経過が社会的相当性を逸脱していないか
→ 行き過ぎが明らかな場合は、社会的相当性を欠く不法行為として主張。 - 同時に、広告や説明文が断定的・虚偽であれば、消費者契約法に基づく取消しも合わせて検討。
このように、占いサイトであっても、
・どのような説明のもとで、
・どのような実態のサービスが提供され、
・どの程度の金額が支払われたのか
を整理することで、法的な主張の筋道を立てることが可能になります。
占いサイトの被害に気付いたら、まずは証拠の保存と相談が重要です
利用している占いサイトが少しでも「おかしい」と感じたら、まずは以下の行動をとってください。
・これ以上、むやみにメッセージを送らない。
・サイト内メッセージ画面や決済履歴のスクリーンショットを保存しておく。
・クレジットカード会社や電子マネー事業者の明細を確認し、支払総額を把握する。
そのうえで、消費生活センター(消費者ホットライン「188」)や、弁護士・司法書士などにお早めにご相談下さい。
鑑定師からの鑑定文の内容やサイトの仕組み次第では返金交渉が可能になるケースがあり、被害を拡大させないための具体的なアドバイスを受けることができます。「占いにこんなに使ってしまったなんて恥ずかしい」と感じるかもしれませんが、それは多くの被害事例に共通する感情です。一人で抱え込まず、早めのご相談をお勧めします。