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占い詐欺で全額返金が認められた裁判例を弁護士が解説
「占いサイトで個別鑑定を受けているつもりだったのに、同じような文章ばかり届く」「本当に鑑定師が存在するのか分からない」。
こうした不安を抱えたまま、高額なお金を支払ってしまう占いサイト被害が増えています。
東京地裁平成30年4月24日判決は、「鑑定師が存在しない、または個別鑑定が行われていない」占いサイトについて、詐欺行為を理由に支払った全額の返金を認めた、占い詐欺・返金の重要な裁判例です。
占いサイトの仕組みと被害の実態
問題となった占いサイトは、「鑑定師」にメールで相談すると、占い鑑定や祈祷、まじないなどのサービスが受けられると宣伝していました。
会員登録をすると無料ポイントが付与され、その後は鑑定師へのメールの送信・返信のたびにポイントが必要で、150ポイントが1500円、750ポイントがおおむね5万円で販売されていました。
利用者は広告を見てサイトに登録し、鑑定師を名乗る人物とのやり取りを何度も繰り返しました。
その結果、わずか半年ほどの間に、クレジットカード決済や振込で合計406万8000円ものポイントを購入してしまっていました。
裁判所が見抜いた「占い詐欺」のからくり
この占いサイトは、「あなた専用の個別鑑定」をうたっていましたが、裁判所は次のような事情から、実際には個別鑑定が行われていないと判断しました。
- 複数の鑑定師名義のメールのうち、自己紹介や一人称を除いて、ほとんど同じ内容の文章が多数見つかった。
- 他の会員に送られたメールも、名前だけが違うほぼ同じ内容で、テンプレートの使い回しと考えられるものが多かった。
- 鑑定結果は抽象的・空想的な内容ばかりで、「いつ」「どのような方法」で占いや祈祷を行ったのか具体的な説明が一切なかった。
- サイト側は、少なくとも95名もいるとされる鑑定師について、契約の有無や報酬の支払い状況、経歴などを示す客観的資料を一切提出しなかった。
これらを総合して、裁判所は「占いや祈祷を行う者としての鑑定師という者は存在しないか、少なくとも、個別に占いをしてメールを送信した事実はない」と認定しました。
そのうえで、サイト側は占い等を行うと標榜しながら、実際にはこれを行わず、ポイントを消費させて利益を得ていたにすぎないとして、その行為を詐欺と評価しています。
判決の結論:支払ったお金の「全額返金」が命じられた
裁判所は、利用者が「鑑定師による個別鑑定が行われている」と信じてサイトを利用していたのであり、実際にはそのようなサービスが提供されていなかったことを知らされていなかったと認定しました。
その結果、運営会社の不法行為責任と代表取締役の共同不法行為責任を認め、利用者が支払った406万8000円の全額に、弁護士費用と遅延損害金を加えた支払いを命じています。
占いサイトの裁判では、「占いは当たらなくても仕方ない」として請求が認められないケースもありますが、この判決は「そもそも鑑定師が実在しない」「個別鑑定自体が行われていない」場合には、占い詐欺として全額返金が認められ得ることを示した点で大きな意味があります。
自分のケースはどうか?占いサイト被害のチェックポイント
この裁判例を踏まえると、「占い詐欺かもしれない」と感じたときには、次のような点を確認してみるとよいでしょう。
- 鑑定師から届くメールが、誰にでも当てはまりそうな内容で、具体的な鑑定方法が書かれていない。
- 複数の鑑定師から似たような文章が届いており、名前だけ変えたテンプレートのように感じる。
- 「あなただけの特別鑑定」「本日限定」といった文言で送受信を何度も繰り返させ、鑑定がいつまでたっても終わらない。
- 鑑定師の人数が多いのに、実在や経歴、契約関係について具体的な情報がほとんど示されていない。
消費者向けの解説でも、悪質な占いサイトの特徴として、「送受信を無駄に繰り返させる」「同じ鑑定結果を複数の利用者に送る」「複数の鑑定士からメールが来る」「特別感を強調する」などが挙げられています。
上のようなポイントに複数当てはまる場合、占いサイト側の行為が違法と評価され、返金請求が認められる可能性があります。
占いサイトで高額課金してしまった方へ
占いサイトに多額のお金を支払ってしまったとき、「自分で納得して払ったので返金は無理だろう」「占いだから仕方ない」と考えてしまう方は少なくありません。
しかし、この裁判例のように、鑑定師の実在や個別鑑定の有無を裏づける資料が出てこない場合には、「占い詐欺」として支払った全額の返金が命じられたケースもあります。
重要なのは、次のような証拠をできるだけ残しておくことです。
- 鑑定師とのメッセージ(画面のスクリーンショットなど)
- ポイント購入やクレジットカード決済、振込の明細
- サイトの利用規約、鑑定師プロフィール、広告ページの内容
これらをもとに、「鑑定師が実在しているのか」「本当に個別鑑定が行われていたのか」「単にポイントを消費させる仕組みになっていなかったか」を専門家が検討することで、返金の可能性を具体的に判断していくことができます。