占い詐欺の解決、警察でも難しい?

占い詐欺に遭った場合、一般的にその相談先として真っ先に思い浮かぶのが、警察、国民生活センターや消費生活センター、そして私たちのような弁護士法人、つまり法律事務所でしょう。解決を図るためには詐欺事件の捜査機関となる警察に相談し、刑事告訴することが手段の一つになると考えられます。しかし、詐欺事件、特に占い詐欺の場合、告訴状を出しても警察が受理してくれるとは限りません。これには非常に難しい問題があるからです。そしてこの難しい問題があるため、私たち法律事務所でも解決に向けて慎重に対応しなければならないと考えているのが占い詐欺です。

占い詐欺の立証が難しいのは信教の自由から?

日本国憲法第十九条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」、そして第二十条「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」によって、心の中は自由であり、また、どんな宗教を信じてもよい、ということが定められています。

日本ではお寺や神社、教会などが多数あって、そこでは初詣、鑑定、祈祷、お祓いなどが行われています。こうした宗教的な行事や文化が古くから根付いています。鑑定や祈祷、お祓いなどの目に見えない、一種の霊的なものを信じるか信じないかは個々の判断が前提になります。つまり、それを詐欺だと思うのか、そう思わないのかは個々の判断に委ねられているということになります。

占い詐欺の実証が難しいのは鑑定や祈祷、お祓いは自らが信じて依頼し、鑑定料などを支払っている点もあることからで、こうした行為を一概に詐欺と判断できないという側面があるからです。

一つの例を挙げると、神社へ初詣にいき、祈祷をして、おみくじで大吉が当たり、交通事故のお守りを購入し、その帰り道で事故に遭ってしまった場合、神社に対して「祈祷代などの費用を返せ」、と請求することは常識で考えると難しいと思われるでしょう。

信教の自由であっても全てが許されるわけではない

日本では信教の自由が認められています。しかし、信じられているからと、相手に対して、何をしても良いということありません。鑑定や、非常識な程の高額なお布施など、すべての行為が「信教の自由」として許されるわけではありません。

占いで「悪相が出ている」「過去の先祖の悪業の影響が出ている」のように依頼者を脅して高額の祈祷やお祓いなどを行わせたり、あるいは「高額宝くじが当選する」「不妊が治る」など、不可能な事象をあたかも実現できるかのように断定的に告げたりすることは違法行為、占い詐欺という行為になる可能性が高いのです。

占い詐欺で警察は動いてくれない?

訴訟には刑事訴訟と民事訴訟があります。刑事訴訟は起訴された被告人が犯罪行為を行ったのかどうか、刑罰を科すべきかどうかなどについて、判断するための手続きです。一方、民事訴訟は人と人、会社と人など、私人間の紛争を解決するための手続きとなっています。

占い詐欺に遭ったから捕まえてほしいと、警察に訴えても刑事事件として告訴状が受理されないケースがあるのは被害に遭った占いが霊的なものであり、それを信じるかどうかは自身の判断になるため、「詐欺だった」「犯罪だった」と立証をするのが難しいからというのが要因の一つとして挙げられます。

占いを詐欺だと立証するのは民事訴訟の場合でも同様の理由から容易ではありません。国民生活センターや消費生活センター、そして、私たち法律の専門家である弁護士にとっても、解決を目指し、被害者の返金交渉を行っていくことが難しいものの一つだということをご理解いただけると思います。

占い詐欺を警察に訴えても返金されない?

占い詐欺を警察に訴えるというのは刑事訴訟ということになります。詐欺罪という罪に問うことはできます。詐欺罪は刑法第246条第1項で「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する」、第2項で「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」と定められており、法定刑は10年以下の懲役となります。

被害に遭われた占い詐欺が、証拠不十分などで詐欺罪としての立件が難しい場合には民事訴訟するしかなくなり、警察には民事に介入すべきでないという原則、いわゆる「民事不介入の原則」があることから、動いてくれません。

では占い詐欺を警察に訴えるのが全く無駄なことなのかといえばそんなことはありません。警察に訴え、詐欺罪として立件されれば、占い詐欺を行った業者側が告訴状の取り下げを求めて、返金を含めた示談交渉してくる可能性があります。

占い詐欺で警察に訴えたい!

占い詐欺の業者を警察に訴えたい場合、どうすれば良いのでしょうか。まず必要なのが告訴状です。ご自身で作成し、警察に出すこともできますが、法律事務所へ作成について相談されることをお勧めします。これは占い詐欺を個人が立証するのは非常に難しいからです。

警察に占い詐欺を刑事訴訟するためには告訴状のほか、占い詐欺の被害に遭われたという証拠が必要となります。警察に提出する証拠としては、通常の民事訴訟で返金してもらうために必要なものと同様で、詐欺行為が行われた占いサイトの鑑定師からの鑑定文や、支払い明細が必須になります。

占い詐欺で警察に訴え、全額返金された例も

私どもインサイト法律事務所で、占い詐欺の被害者から依頼を受け、解決のために動いた事例はほとんどが民事訴訟となったものであり、刑事訴訟となった事件を取り扱ったのは稀です。その中で1つ、事例をご紹介しましょう。

私どもが動いた事例は「宝くじで確実に高額当選できる」といった類の占い詐欺で高額な支払いをしてしまった被害者からの依頼でした。被害者が詐欺を行っていたサイトの運営者や振込先、さらには経営者を刑事告訴し、立件してもらうために必要な証拠などを集め、関連する情報提供などを行いました。その結果、占い詐欺を行っていた業者側は関係者全員が逮捕されましたし、被害者には騙し取られたお金が全額返金されました。

占い詐欺に遭った場合、警察に相談するのは決して無駄なことではありません。しかし証拠が立件するに乏しい内容のものであったり、被害額が小さかったり、訴えるサイトの所在地が不明だったり、あるいは占い詐欺を行っている業者がサイトを閉鎖して行方不明になっている場合などは警察に行っても告訴状を受けてくれないでしょう。

そこで、警察に行く前に国民生活センターや最寄りの消費生活センター、あるいは詐欺被害相談窓口を開設している法律事務所へ相談してみてください。返金させるためにどうすべきか的確なアドバイスをもらえるはずです。

占い詐欺の被害、インサイト法律事務所へご相談ください

占い詐欺を詐欺罪として立件するのは法律の専門家である私どものような弁護士法人でも、容易ではありません。ですから被害者ご自身がやっとの思いで告訴状を作り、証拠を集め、警察に訴え出ても、証拠不十分だったり、そのほかの理由だったりで、告訴状が受理されなかったというケースが少なくありません。

「占い詐欺に遭っているかもしれない」「占い詐欺に遭ってしまった」、そう感じたり、気がついたりしたとき、また、「業者の所在地が不明」「占い詐欺の証拠は集めたけれど、自信がない、不安だ」、そんなときには迷わず、最寄りの詐欺被害の相談窓口に向かってください。もちろん私どもインサイト法律事務所でも構いません。私どもでも詐欺被害専門の相談窓口を開設しております。

弁護士法人インサイト法律事務所では代表弁護士を務める第二東京弁護士会所属の大川博俊ほか、経験豊富なスタッフが、占い詐欺の被害者を救済すべく、返金交渉に取り組んでいます。インサイト法律事務所は着手金無料で対応しております。