副業詐欺の被害、泣き寝入りしないでください!
政府は2017年、副業や兼業など、柔軟な働き方ができるようにする「働き方改革実行計画」を発表。翌年、2018年は厚生労働省が「モデル就業規則」の改正を行い、「許可なく他の会社などの業務に従事しないこと」の文言が削除されたことで、副業推進の流れが生まれました。それに伴い、副業を解禁する企業も増えてきています。そこで、在宅できる副業、隙間時間を使ってできるサイドビジネス、ネットでできるお小遣い稼ぎを探している人は少なくありません。そういった中、副業やアルバイト、お小遣い稼ぎをしている人たちをターゲットにして、お金を騙し取っている詐欺グループがいます。こうした詐欺に引っかからないためにはどんな点に注意すべきなのか、また、運悪く引っかかってしまったとき、どこへ相談すべきなのか、などを解説いたします。
目次
副業の一環にならなかった高級時計シェアリングサービス
まず最近の副業詐欺の事例ともいえる事件をご紹介しましょう。自身が普段使っていない、あるいはコレクションしている高級ブランドの腕時計を預け、その時計を貸し出すことで、副収入が得られると宣伝して客と時計を集めたシェアリングサービスが突然解散。運営会社の社長は使用料を時計のオーナーに支払わず、それどころか預かった時計を返却することなく、姿をくらましてしまったという事件です。
この社長が横領容疑で、3月に入って、指名手配されたという事件がニュースになったのでご存じの方もおられるでしょう。報道によれば、警視庁はこれまでに被害届を27件受理しており、その被害額は腕時計約70本、金額にして約1億円相当、これらの時計はすでに無断で売却されてしまっていることが確認されているというのです。
この詐欺事件では自分が持っている高級時計を貸し出すだけで副収入が得られる、楽に稼げる副業の一環、投資のようなものと考えて、貸し出してしまったという被害者が少なくないようです。これもまた副業詐欺の一種だったといえるでしょう。
こうした副業詐欺を行う側は「楽に稼ぎたい」「簡単に稼ぎたい」、そういう人々の心の隙をついてきます。
メールの人生相談の副業で300万円の詐欺被害
わたくしどもインサイト法律事務所に相談をいただいた事例をご紹介いたしましょう。相談にいらっしゃったのは30代の女性。メールによる相談の副業を始められたのですが、相談相手から高額な報酬を支払うといわれ、手続きをするよう指示されました。これまでにも何度か取り上げた詐欺のパターンであり、報酬を受け取る手続きを行うためにさまざまな費用が発生するというものです。
この女性は手続きが終われば、かかった費用を上回る報酬がもらえるから、と感覚が麻痺しておられました。しかし、相手は詐欺グループなので、報酬など最初から支払うつもりなどありません。結局、この女性はさまざまな名目の手数料や費用を払い続けました。支払った金額は300万円にも膨れ上がってしまいました。ここでご自身がメール相談の副業を装った詐欺に遭っていることに気が付かれ、わたくしどもの相談窓口にいらっしゃいました。
副業詐欺で被害総額19億円という報道も
人生相談の副業を紹介するという誘い文句でお金を騙し取った疑いで、今年2024年6月には26人が逮捕されたニュースを、共同通信や日本経済新聞、読売新聞のほか、テレビ局各局が報じました。
女性向け副業サイトで現金を詐取
報道によれば、この副業詐欺事件は女性向け副業サイトの利用者から会員手続きの費用名目で現金を詐取したというものです。
2021年1月から2023年9月までの間、この詐欺グループは全国の女性約8,600人から総額で約19億円を騙し取ったというのです。警視庁と千葉県警などの発表によると、東京、千葉、埼玉など5都県の副業詐欺を行っていた拠点11ヶ所を一斉摘発し、グループの幹部、サイト運営者や相談相手となるサクラ役の男女計26人を逮捕したそうです。その手口は「男性の相談相手になるだけ」という副業詐欺でよく見られるパターンでした。
都内在住40代女性は約40万円騙し取られる
容疑者が逮捕となった、この副業詐欺事件で被害に遭ったのは都内在住の40歳代女性。SNSに掲出されていた「スマホでカンタン副業」「メールで話を聞くだけの仕事」などの宣伝を見て、応募したといいます。この女性は「報酬を得るには正会員になる手続きが必要」と指示され、3回にわたって現金計40万7000円を騙し取られたと報じられました。
20代長崎県在住の女性は約30万円の被害
また、長崎県の20歳代女性は約30万円の被害に遭ったと報じられています。この女性の場合には相談相手を装ったサクラから謝礼を振り込むので連絡先を知りたいと騙されました。運営者側からは「正会員登録費用」「個人情報交換のためのセキュリティー解除費用」などの支払いを求められ、言いなりに支払ってしまいました。
SNSで勧誘する副業詐欺
多くの人がSNSを利用するようになったことから、 SNSの広告を使って勧誘する副業詐欺が増加の一途を辿っています。中でもインスタグラムやTik Tokで「フォロー」や「いいね」をするだけで稼げる、といかにも簡単な作業をアピールし、さらに「簡単に高額収入になるものはない」「簡単に稼げるものはほとんどが詐欺」ということが最近、知られてきていることから、広告では高額収入をうたわず、1件あたり数十円から数百円として、軽い気持ちで、安心してできると思わせる手口が現れています。
タスク完了で報酬をもらえるはずが
この手口の詐欺は「タスク詐欺」とも呼ばれるものであり、「フォロー」や「いいね」が終わるたびにタスク完了の報酬が支払われます。詐欺師を信じはじめたところで、報酬金額が高いタスクに誘われるようになっていきます。しかし、業者から指示されるタスクがだんだん複雑になっていくのです。たとえば報酬が仮想通貨になったり、その報酬を引き出すために一度入金が必要になったり、あるいはタスクを完了できないと罰金が発生したり、といったようにさまざまな理由をつけて、業者側の口座に入金させられていくのです。
被害額の拡大で冷静さを欠いてしまう場合も
この手のタスク詐欺とも呼ばれる詐欺に限らず、詐欺被害に遭っている人は、被害額が大きくなればなるほど、後に引けなくなっていき、さらには冷静さを欠いていき、なんとしても自分で取り戻そうとして、余計に被害を拡大させてしまう傾向にあります。
もしかしたら詐欺に遭っているかもしれない、あるいはご家族の様子がどうもおかしい、そういう場合には国民生活センターや最寄りの消費生活センター、わたくしどものような法律事務所へ相談に行っていただきたいのです。それが被害拡大を食い止めることにつながります。
副業詐欺、こんなところに注意しましょう
ちょっと自由になるお金が欲しい、生活費の足しにしたい、そう考えて、在宅でもできる、隙間時間を使ってできる副業や仕事を探していると、「スマホで簡単作業」「空いている時間に簡単な操作で稼げます」「在宅ワーク、初心者でも簡単」などの誘い文句で掲載されている求人が魅力的に感じられます。こうした求人には運営がしっかりしたものもあれば、詐欺でお金を騙し取ろうとするものもあるので、注意が必要です。
その求人の仕事が副業詐欺サイトなのかどうか、見分け方について、注意すべきいくつかのポイントをご紹介いたします。ここで紹介したような視点で募集要項や応募方法を見ていくと、副業詐欺を行っているサイトがわかってくるはずです。
副業や在宅ワークを始める前、まずは自分でできるチェックをしましょう。少しでも怪しいと感じたら、その副業や仕事は手をつけない方が良いでしょう。
「簡単に高額」「楽に稼げる」という言葉があればほぼ間違いなく詐欺サイト
「簡単に」「ラクに」「初心者でも」「隙間時間で」といった言葉に「高額収入」「高額報酬」「高額保証」といったように「高額」が組みわせられた求人はほぼ間違いなく詐欺サイトだと思ってください。楽な作業、簡単な作業で稼ぐことができるサイトは確かにあります。しかしコツコツと積み上げる作業のような仕事であり、その仕事内容・量に応じた収入・報酬となります。簡単に、楽に、初心者が高額収入・報酬を得られるような仕事はどこにもありません。
お小遣いを稼ぎたい、自分の自由になるお金を稼ぎたいとネットで副業を探している人にとって、スマホ1台あればできる仕事、在宅でも好きな時間で自分のペースできることなどを全面に打ち出した仕事、空いている時間でできるお小遣い稼ぎは魅力的でしょう。
しかし、簡単なのに、楽なのに、初心者なのに「高額」が得られるとあるものはほぼ間違いなく詐欺です。
運営企業・団体の情報が公開されていないものは詐欺サイト
求人に企業名や団体名が掲載されているのか、また住所や連絡先が掲載されているのかを確認しましょう。一番早い方法は社名・団体名や住所をネットで検索してみます。詐欺行為を行っているサイトは被害に遭った人に口コミや評判を書かれていることがあります。また、住所を検索すると架空の住所になっていることがあります。副業を募集している普通の企業や団体は情報公開しています。情報公開されていなければ、詐欺サイトだと疑った方が良いでしょう。住所を検索すると架空の住所になっているようなサイトも間違いなく詐欺サイトです。
仕事をするために登録手数料や諸費用が発生する副業は詐欺の場合が
副業や在宅ワークの求人に応募すると、「登録費用が必要」「口座管理料が必要」「研修・教材費が必要」など、仕事を始める前にさまざまな理由をつけて、手数料などを請求するサイトがあります。こういったサイトも詐欺を疑ってください。
別サイトやLINEへ誘導されるものも副業詐欺を疑いましょう
最近、増えてきているのが、副業や在宅ワークの求人に応募すると、LINEグループに誘導される手口です。有料セミナーを受講させられたり、ネットワークビジネスに勧誘されたり、あるいは情報商材を購入させられたり、という手口のものも見受けられるようになっています。副業のためのLINEグループに勧誘されるものは副業詐欺かもしれないと疑ってください。
ここで紹介したようなポイントに注意すると、副業詐欺を行っているサイトがわかってくるはずです。副業や在宅ワークを始める前、まずは自分でできるチェックをしましょう。少しでも怪しいと感じたら、その副業や仕事は手をつけない方が良いでしょう。
副業詐欺の被害、泣き寝入りせずに相談を!
政府や行政機関、消費者センター・団体、そして法律事務所などが、詐欺被害に遭ってしまうことがないよう、ポスターやチラシ、報道機関などを通じて、注意喚起を促しています。それでも副業詐欺をはじめとするネット上の詐欺行為が蔓延しており、その被害者数や金額は増加する一方です。
運悪く副業詐欺の被害に遭われて、お金を取られてしまったにも関わらず、返金を最初から諦めてしまう人もいらっしゃいます。ちょっと待ってください。泣き寝入りしないでください。交渉次第で返金してもらえる可能性があります。
泣き寝入りしないことが副業詐欺の撲滅に
「わずかな金額だから諦めよう」「恥ずかしいから相談に行けない」「どうせ戻ってこないと思った」など、わたくしどもインサイト法律事務所へ相談にいらっしゃる方々はそう考えておられたそうです。
しかし、ちょっと待ってください。詐欺を働くグループに「詐欺でおいしい思いはできない」ということを理解させないことには詐欺は減りません。そして減らなければ、また次の被害者が生まれます。副業詐欺をはじめとしたネット上の詐欺行為に遭われ、お金を取られた方々、泣き寝入りせず、返金を諦めず、まずは消費者センターや相談窓口へ行ってください。
そうすることがネット上で詐欺を働くグループの撲滅につながっていくのではないか、わたくしどもインサイト法律事務所ではそう考えています。
副業詐欺に遭われても泣き寝入りしないで!まずはインサイト法律事務所へ!
スマホ1台あればできる、隙間の時間でできる、在宅でも好きな時間で自分のペースできることなどを全面に打ち出した副業の求人は魅力的でしょう。しかし、簡単、楽に、初心者でも高額収入や高額報酬を得られる副業、仕事はありません。「高額」とあるものはほぼ間違いなく詐欺です。
消費者センターや法律事務所などでは各種詐欺被害の相談窓口を開設しています。副業詐欺被害の返金交渉にはスピードが必要です。もし、副業詐欺に遭われてしまった場合、あるいはご家族が詐欺に遭われたことがわかった時には泣き寝入りせず、できるだけ早く、窓口に行って相談してください。
わたくしども、弁護士法人インサイト法律事務所も相談窓口を開設しております。代表弁護士の第二東京弁護士会所属・大川博俊をはじめ、スタッフは副業詐欺をはじめ、さまざまなネット上での詐欺被害に遭われた方を救済するべく、返金交渉に取り組んできました。増加の一途を辿っているネット関連の詐欺に遭ってしまった場合には、インサイト法律事務所にご相談ください。インサイト法律事務所では無料相談窓口を開設しています。着手金も無料です。