かつてパチンコやパチスロ、競馬、競艇、競輪、オートレースといったギャンブルはどこか暗いイメージがあるものでした。しかし、主催者側が安全に楽しめる仕組みづくりを行ってきたほか、かつてのイメージを払拭するような内容のコマーシャル、キャンペーンで人々の見る目は変わってきたといえるでしょう。しかし、そうした中、射幸性を煽る詐欺行為も増えています。公営競技では「絶対当たる」「高額配当確実」「関係者からの裏情報をあなただけに」のような誘い方による詐欺、パチンコやパチスロの場合は「打ち子募集」というパターンのほか、「攻略方法教えます」といった情報商材を使った詐欺のパターンもあるかと思います。ギャンブルに絶対や確実はありません。その誘いは間違いなく詐欺。注意が必要です。

娯楽としてのギャンブル、参加者が増加傾向に

旧経済産業省所管のシンクタンク公益財団法人日本生産性本部は昨年2023年10月に、2022年のレジャーの状況について実施したアンケートの結果と各業界の市場分析を検証して取りまとめ、「レジャー白書2023」として発表しました。この調査でコロナ前の2019年を基準にした2022年の公営競技参加人口は、地方競馬が106.1％、ボートレースが116.7％、競輪が181.8％、オートレースが133.3％と、増加しているという結果になっていました。また、パチンコは2019年と比較して、86.5％でしたが、前年と比較すると6.9％増えており、回復が進んでいます。娯楽としてのギャンブルを楽しむ人が増加していることから、一度は減少傾向になっていたギャンブル詐欺も再び増加傾向に転じています。

ギャンブルで「絶対儲かる」「確実に稼げる」はありません

私どもインサイト法律事務所ではこれまでに何度もギャンブル詐欺について解説し、注意喚起を促してきました。

「絶対に当たる」「確実に稼げる」「確実に儲かる」「必ず稼げる」など、迷惑メールやネットで公営競技の予想情報、パチンコやパチスロの攻略法を提供しているサイトや販売されている情報商材でもよくみられる言葉です。しかし、占いと同じくギャンブルに「確実」「絶対」「必ず」はありません。

そもそも「確実」や「絶対」の着順情報や関係者からの裏情報を知ることができるのであれば、わざわざ他人に教えず、自分がその予想情報で投票券を購入すれば独り占めできるのです。パチンコやパチスロの攻略情報も同様です。ギャンブルで絶対勝てる方法や必ず勝てる方法、確実に勝てる方法はありません。

ギャンブル詐欺とは

ギャンブル詐欺はオレオレ詐欺や還付金詐欺と並ぶ特殊詐欺の一つです。法務省の法務省の施設等機関である法務総合研究所の研究部が出している研究部報告ではギャンブル詐欺を次のように定義しています。

“不特定多数の者が購入する雑誌に「パチンコ打ち子募集」等と掲載したり、不特定多数の者に対して同内容のメールを送信するなどし、これに応じて会員登録等を申し込んできた被害者に対して会員登録料や情報料等の名目で金銭等をだまし取る（脅し取る）ものをいう。”

出典：法務省法務総合研究所「特殊詐欺事犯者に関する研究」

https://www.moj.go.jp/content/001392370.pdf

ここではパチンコとしていますが、競馬や競輪、ボートレースやオートレースもギャンブルですから、同じように金銭などを騙し取るのももちろんギャンブル詐欺です。

打ち子とは？ギャンブル詐欺で使われる上等文句

この「打ち子」ということばはパチンコで行われる詐欺でよく使われているものです。打ち子は別の呼び方で「出玉ＰＲスタッフ」「モニター」「サクラ」などとも呼ばれており、お店が流行っているように見せるため、指定された台に座り、ただパチンコをするだけで業者がお金を支払ってくれる、と求人をしています。

・派遣出玉ＰＲスタッフ緊急募集

・指定された台に座って打って頂くだけ

・軍資金提供！

・攻略法検証スタッフ募集

・新台テスター員募集

こうした誘い文句の求人が「打ち子」の求人募集の一例です。打ち子募集の求人に応募すると、登録費用や情報料を支払わせられ、個人情報も抜き取られてしまいます。私どもインサイト法律事務所へ相談にいらっしゃったギャンブル詐欺被害者の中にも「打ち子」の募集や、「攻略法」情報商材の購入で引っかかった方がいらっしゃいました。この求人は詐欺行為です。パチンコ・パチスロメーカーの関連会社や業界団体を装って、アルバイトや副業求人を行っている業者もいるので注意が必要です。

必ず勝てる攻略法もギャンブル詐欺です

ギャンブル関連でよく聞かれるのが「射倖心」という言葉です。射倖心というのは努力や苦労をすることなく、利益や成功だけを願う、偶然の利益を労せずに得ようとする欲心。まぐれ当たりによる利益を願う気持ちのことですが、競馬や競輪、ボートレースやオートレースといった公営競技の攻略法、パチンコ・パチスロの攻略法といった情報商材の販売業者は「誰でも必ず勝てる」「絶対稼げる」「初心者でも勝てる」、こういった言葉で射倖心を煽っています。

ほとんどの場合、こうした広告で販売されている攻略法の情報商材はギャンブル詐欺になっていると言わざるを得ません。ネットやメール、雑誌広告などで販売されている攻略法では、その指示通りに投票券を買ったり、あるいは台を操作したりしていれば必ず的中したり、あるいは大当たりを得たりすることで、稼げるとしています。

しかし、競馬もボートレースなど公営競技の着順があらかじめ決まっているなどということはあり得ませんし、パチンコやパチスロの出玉数も予測などできないものです。

つまりギャンブルで確実や絶対の攻略法などは存在しないのです。

また、「必ず勝てる」「確実に儲かる」といった言葉で勧誘することは消費者契約法において規定されている「不実告知」や「断定的判断の提供」に該当するものであり、違法行為となります。私どもインサイト法律事務所へ相談にいらっしゃったギャンブル詐欺被害者のほとんどがこうした「不実告知」や「断定的判断の提供」によって、お金を騙し取られていました。

パチンコ・パチスロの業界団体がギャンブル詐欺事例を紹介

パチンコ・パチスロの業界団体で全国47の都道府県のパチンコ・パチスロホールの遊技業協同組合を会員とする協同組合連合会の全日本遊技事業協同組合連合会（全日遊協）はパチンコ・パチスロの攻略法や打ち子などに関する、ギャンブル詐欺の広告事例を紹介しています。

全日遊協：「攻略法」販売、「打ち子」の(求人)募集について

https://www.zennichiyuren.or.jp/activity/release/kouryaku.html

このサイトでは実際にどういったギャンブル詐欺の広告が出ているのか、どういった言葉で勧誘を行っているのか、事例を挙げています。事例をご覧になると、インターネット上にあふれている「攻略法販売」「打ち子募集」という広告がギャンブル詐欺であると理解できるのではないでしょうか。

ギャンブル詐欺の被害事例から注意喚起

昨年2023年10月、NHK富山放送局は同局のウエブサイト「よむ富山人」の中で「だまされんちゃ！特殊詐欺 “ギャンブル必勝法”に注意」という記事を掲載し、富山県内でギャンブル詐欺に遭った男性の事例を紹介。注意喚起を促しました。

この事例の報道によると、事件は2022年１０月のことだそうです。氷見市在住６０代の男性が「八百長のレースができる」と誘われ、犯人グループの口座にお金を振り込んだのですが、さらなる振り込みを要求され、言われるがまま、個人情報や身分証、顔写真、銀行口座番号を教えてしまいました。犯人グループはこの男性になりすまして複数の消費者金融に対して、融資を申し込み、振り込まれたお金をそのまま犯人グループの口座へ振り込んだのだというのです。もちろん八百長レースなどはなく、400万円以上を騙し取られることとなり、男性は警察に駆け込んだのだそうです。

ギャンブル詐欺、被害のご相談はインサイト法律事務所へ

私ども弁護士法人インサイト法律事務所には、ギャンブル詐欺に遭われた被害者を救済するべく、代表弁護士の第二東京弁護士会所属・大川博俊とスタッフが返金交渉に取り組んでいます。今回、ご紹介したように、ギャンブル詐欺をはじめ、副業詐欺、占い詐欺など、特殊詐欺の手口はますます巧妙、複雑化しています。騙し取られた被害額も増える一方です。私どもはさまざまな詐欺の被害に遭われた多くの方々に代わって、返金交渉に携わっています。ご自身はもちろん、ご家族やご親戚が詐欺被害に遭ってしまった場合、できるだけ早く相談にいらっしゃっていただければと思います。ギャンブル詐欺で騙し取られたお金は取り戻せる可能性があります。決して諦めず、まずはご相談ください。着手金は無料です。