支援金の給付メールに騙されないで!詐欺の手口かもしれません!

電気、ガスなど、光熱費の値上げだけでなく、物価の上昇で家計は厳しくなる一方。そんないま、あなたのスマートフォンに突然、「生活にお困りの方!支援金が給付されます!」「あなたは3,100万円の支援金を受けることができます」「あなたは給付金を受け取れます」、こんなタイトルのメールが入ったらどうしますか。

いつもなら、迷惑メールや詐欺メールだと思い、開くこともないでしょう。しかし、こんなときです。油断してついつい開けてしまい、手続きをしてしまったら。支援金をもらえるはずだったのになぜかお金を騙し取られてしまう-。これは支援金詐欺という手口の一つです。支援金詐欺に「引っかからないためには」「引っ掛かってしまったら」、インサイト法律事務所の大川博俊代表弁護士が解説いたします。

支援金をもらえるはずが

支援金の権利当選や給付確定といった言葉で詐欺サイトへ誘導し、お金を騙し取るのが支援金詐欺における手法の一つです。支援金の権利当選や支援金給付確定のお知らせ、申し込んでもいない支援金の権利に当選したり、給付確定したりするはずはありません。しかし、昨今の光熱費の値上げや物価上昇で生活が厳しくなっていたり、あるいは事業がうまくいっておらず、なんとかしたいと思っていたりするところでこんなタイトルのメールが来たら、開けてしまうかもしれません。

私たちのところへご相談にいらっしゃった支援金詐欺の被害者の方々でもそうした手口に引っ掛かってしまったという人が少なくありません。

詐欺師、詐欺グループはさまざまな口実をつけて、金銭を要求してきます。支援金を受け取るつもりでアクセスしたのに、逆にお金を騙し取られてしまう、これが支援金詐欺と呼ばれるものなのです。

手続きの費用請求は支援金詐欺の手口です

支援金詐欺でよく見られる手口は支援金を給付するためには手続きが必要だからと詐欺サイトへ誘導して、個人情報を引き抜き、さらには支援金を受け取るための各種手数料と称して、送金させるというものです。

私どもに相談にいらっしゃった支援金詐欺被害者の事例をご紹介しましょう。この被害者は2022年4月から7月までの3ヶ月間、SNS金融政策監督局という名称の事務局・団体からのメールで5億円が給付されると騙され、詐欺師にお金を払い続けてしまいました

相手からの「5億円再輸送開始」に関する手数料という名目の2,000円から始まり、「SNS情報厚生法同意」の手数料で7万円、「新規ID発行」で6万円、「専用パス発行」で11万円、最後の「ネットワーク構築」で10万円、と支払い続け、最終的に被害額は総額で929万円にまで増えてしまっていました。

そもそも政府にSNS金融政策局という事務局・団体は存在していませんし、日本にはSNS情報厚生法などという法律もありません。ちょっと調べればわかりそうなものなのですが、支援金額の大きさに驚き、目が眩んでしまったり、冷静さを欠いてしまったりして、その手口に気が付かなくなってしまったようです。

支援金詐欺のこうした手口に引っ掛かってしまった人の多くは「高額の支援金が給付されるのだから、これくらいは」と支払い続けてしまい、気がつくと数十万円、数百万円、数千万円になってしまっていたというケースがほとんどです。

「支援金」「給付金」「還付金」というタイトルのメールには要注意

今年、2023年3月、ある農業協同組合が「支援金詐欺の注意喚起について」というお知らせを発表しました。財団法人を名乗る者から「あなたが所有する農協の口座に現金を振り込みます」という、支援金詐欺が疑われるメールが口座利用者に届いたため、手続きをしないよう、注意喚起を促しました。こうした注意喚起は年々、増え続けています。

業界団体の職員や行政機関の職員を名乗る者、行政から委託されたという業者からの「支援金が給付されます」「給付金の権利が当選しました」「還付金が受け取れます」といった内容のメールや電話などの連絡はまず詐欺の手口だと思って間違いはありません。また、最近はメールアドレスやリンク先のURLの偽装や手口も巧妙になってきています。一見、本物と見間違えるようなサイトも作られています

申し込んでもいない「支援金」「給付金」「還付金」の連絡が入るはずはありません。また、受け取れるということもありません。そういったタイトルのメールは開かないよう、注意しましょう。

支援金詐欺で送金させる手口は?

支援金詐欺で送金させる手口に利用されているのが、ネットバンキングやコンビニ決済のプリペイド型電子マネーなど。中でも特に多いのが「電子マネーの番号を送れ」というものです。一般的に販売されている電子マネーは額面価格が1,500円から5万円分の使い切りのカードタイプで、商品の購入やサービスを利用するとき、現金の代わりに使うことのできる、インターネット版商品券のようなものです。

国民生活センターはこの電子マネーカードを利用した詐欺について、次のように注意を促しています。

「カードに記載された番号等を相手に伝えることは、購入した価値を相手に全て渡したことと同じです。後になって架空請求等によりだまされたことに気づいても、いったん相手に渡した価値を取り戻すことは非常に困難です。」(プリペイドカードの購入を指示する詐欺業者にご注意!!-国民生活センター)

私どもに相談をされる方々の場合にも多く見られるのがこのコンビニ決済の電子マネーで送ってしまったというケースです。

支援金を受け取るための手続きに必要な手数料を電子マネーで送金するように指示してくるのは詐欺師や詐欺グループだと思って間違いないでしょう

支援金詐欺の被害に遭いました!どうすれば?

支援金詐欺の被害に遭ってしまったかもしれない、と相談を受けたとき、私たちは被害者の方々に証拠を保全するための迅速な行動を取るよう、アドバイスしています。

まず相手と送受信したメールやメッセージのファイル、あるいはスクリーンショットを保存しておくことです。次にインターネットバンキングや電子マネーを送金した記録を保存しておいてください。また、プリペイドカードタイプの電子マネーには個別の番号がついています。この番号も保存しておきます。銀行振り込みやコンビニ決済での明細といったものなども返金交渉では重要な役割を果たしますので、捨ててしまわないように保管してください。

こうした証拠があればあるほど、詐欺を働いた相手との返金交渉に進むまでのスピードアップが期待できます。

また、支援金詐欺に遭い、大切なお金を取られた場合、1日も早く返金してほしいと考えるのは当然のことです。返金交渉について誰かに相談するよりも個人で直接行った方が早いと考えるかもしれません。しかし、交渉に関する知識がない個人が、直接詐欺師や詐欺グループにアプローチした場合、門前払いになってしまったり、言いくるめられたり、あるいはサイト運営側でログインできないようにアカウントをロックされてしまうかもしれません。最悪の場合にはアカウントを削除されてしまったり、業者がサイト全体を削除して、逃げてしまったりすることがあります。

そのため、支援金詐欺の被害に遭った場合、まずは冷静さを取り戻して、証拠を保全しましょう。同時に警察や国民生活センターや消費者センター、法律事務所など、詐欺相談の窓口を設けているところへ行くことをお勧めします。

支援金詐欺被害の相談は弁護士法人インサイト法律事務所へ

支援金詐欺の被害に遭ってしまった、大切なお金を取られてしまった-。でも返金を諦めないでください。奪われたお金を取り戻せる場合があります。私たちインサイト法律事務所には支援金詐欺のほか、出会い系サイトやマッチングアプリで行われた詐欺、副業詐欺などの解決に取り組み、返金交渉をしてきた弁護士が在籍しています。専用の相談窓口を設け、受付時間外でも対応しております。詐欺行為に遭ってしまい悩まれている方、私どもの弁護士にご相談ください。