占い詐欺で逮捕は困難!でも返金の可能性は?

占いの世界はグレーゾーンが多く、非常に多くの詐欺行為がはびこっています。占い詐欺に遭われた被害者が逮捕して欲しいと訴え出ても、占い詐欺を犯罪として立証することは極めて難しく、占い師や鑑定士を装っている詐欺師は逮捕されず、その後も名前を変え、スタイルを変え、占い詐欺を続け、被害者は増え続けているというのが現状です。では被害者は泣き寝入りするしかないのでしょうか。

占い詐欺は詐欺罪で訴えることができるのでしょうか?

占い「詐欺」というくらいですから、刑法第246条の詐欺罪に当たるのではないかと考えるのが一般てきではないでしょうか。詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させたことを罰する」犯罪です。わかりやすく言えば、人を騙してお金や財産を取得することです。この詐欺罪が成立するためにはいくつかの要素が必要となります。

占い詐欺で詐欺罪を成立させるためには?

詐欺罪が成立するためには、次の要件を満たしている必要があります。

  • 欺罔(ぎもう)行為:相手を騙す行為
  • 錯誤(さくご):相手が騙されて事実を誤解すること
  • 財物または財産上の利益の交付:被害に遭われた方が加害者に騙されて財産を渡してしまうこと
  • 故意:加害者に詐欺を働く意図があること。

この要件を満たして詐欺罪が成立した場合、一般的には10年以下の懲役となります。

詐欺罪が成立しないのはどんな場合?

詐欺罪だと訴えても詐欺罪が成立しない場合があります。それは次のような場合に当てはまると詐欺罪が成立しません。つまり訴えても逮捕されないのです。

  • 被害者の自由意志:被害に遭われた方が納得してお金を払ったとみなされた場合、騙されたと判断されないことがある。 
  • 加害者の故意を証明できない場合:騙す意図がなく、単なるミスや誤解だった場合。 
  • 財産の移転がない場合:騙したとしても被害に遭われた方から加害者へ金銭や財産が渡っていないとき。

占い詐欺が詐欺罪として成立しにくいのはなぜ?

占い詐欺が詐欺罪として成立しにくいのは、「当たらない占い」や、開運商品として売り付けられた「効果がない商品」が、詐欺に該当せず、主観的なサービスとして片付けられるからです。

また、占い師や鑑定士の占った結果や鑑定の結果が科学的に保証されないことを承知した上で依頼していることが両者で合意しているとみなされます。

さらには占い師や鑑定士のアドバイスや提案に基づき、被害に遭われた方が自主的に高額な商品を購入したりサービスを受けたりしているとみなされてしまえば合意があったとされてしまいます。また、自分の意思でお金を支払ったとみなされると、「欺罔」による錯誤が成立しにくくなります。

これらの要因から占い詐欺は詐欺罪として成立しにくく、詐欺や詐欺まがいの行為を働いた占い師や鑑定士を名乗る人物は逮捕されないのです。

霊媒師が逮捕された例もあります

もちろん占い師や鑑定士が逮捕された事件、ゼロではありません。2024年6月には霊媒師を装った人物ほか4人が窃盗容疑で逮捕されています。名古屋市で起きたこの事件はテレビや新聞で報道されました。

「明日あなたの家族が死ぬ」といわれ不安のどん底に

この事件は名古屋市で発生しています。大阪府警に逮捕されたのは中国籍の30代から60代の男女4人。この4人のうちの1人は霊媒師を名乗り、2024年5月、名古屋市中区の神社で60代女性に「あなたの息子が死んでしまいます。もし助けたければ現金や貴金属をおはらいする必要がある」などと説明。霊媒師を信じた現金やネックレスなど、計約45万円相当を持ってこさせ、女性が目を離した隙に4人は盗み、持ち去ってしまいました。

4人の手口は?なぜ被害者は霊媒師を名乗る人物を信じた?

この4人がとった手口は悪質なものでした。4人のうち、声かけ役の女性は霊媒師を探していると、面識のない被害者となった女性に声を掛けました。声かけ役の女性は道案内してもらうふりをして、被害者となった女性の家族構成や近況を聞き出し、この内容をあらかじめ霊媒師役にSNSで情報を送信していました。目的地で霊媒師役が現れ、個人情報を言い当てたように見せかけられたことから、女性はすっかり信じ込んでしまったのです。

女性が持ってきたものを、この霊媒師たちはおはらいしているときを狙い、別のものとすり替え、持ち去ってしまいました。

兵庫県内で同様の手口で約1,500万円の被害が確認されており、大阪府警と兵庫県警が合同捜査をしていたところでこの4人を窃盗の疑いで逮捕するに至ったのだそうです。

この事件を報道した朝日新聞の記事によると、2023年10月以降、同様の手口による被害が全国で30件以上発生しており、被害額は計約1億2千万円に上っているといいます。

占い詐欺を詐欺罪で逮捕してもらうには

ここでご紹介した事例は窃盗罪でしたが、占い詐欺で加害者を逮捕してもらいたいと考えた場合、占いを装って故意に騙し、金銭や財産を不当に得る行為があったということを立証できれば、詐欺罪に該当させ、占い師や鑑定士を逮捕してもらえる可能性がでてきます。占い詐欺を詐欺罪として立件するためにはどんな証拠となるモノやコトが必要なのでしょうか。

占い詐欺で行われた具体的な欺罔行為の証拠

まずは「具体的な欺罔行為の証拠」です。占いや鑑定結果のメールやメッセージ、電話などで結果を聞いていた際に録音していれば、録音音声データなどを確保します。占いサイト独自のメールやメッセンジャーを利用している場合にはスクリーンショットを撮ってください。

占い師の故意を立証

占い師や鑑定士を名乗る人物が最初から金銭を騙し取る意図を持って行動していたことを示す必要があります。複数の被害に遭われた方がいる場合、同様の手口で多くの人が被害を受けているということを明らかにしていくことで信憑性を高めることができるでしょう。

被害者の錯誤が明確であること

被害に遭われた方が占い師や鑑定士を名乗る人物に騙されなければお金を払うことはなかったということを証明します。

占い詐欺被害、泣き寝入りせずに返金交渉を

逮捕してもらうためのモノやコトをご紹介させていただきましたが、占い詐欺を行った占い師や鑑定士を名乗る人物を逮捕してもらうためには非常に高いハードルがあることはご理解いただけたのではないでしょうか。

占い詐欺の詐欺罪立証は極めて困難です。そのため多くの人が泣き寝入りしてきた、あるいは泣き寝入りしているという現状があります。また、詐欺罪を立証できて、警察に逮捕してもらえたとしても、警察は返金交渉を行ってくれません。

重要なのは相手に罪を認めさせ、法の裁きを受けさせるのと同時に騙し取られたお金を取り戻す、返金してもらうことではないでしょうか。

返金交渉するには詐欺行為があったことを相手に対して立証する必要があります。そこで占い詐欺にあったと気が付いたときにはできるだけ早く、詐欺被害の相談窓口を開設している国民生活センターや消費生活センター、あるいは法律事務所に行ってください。法律事務所であれば、返金交渉を行うのと同時に刑事責任を追及できるか、逮捕してもらえるかどうかの判断もしてもらえます。

占い詐欺に遭ってしまったときのご相談はインサイト法律事務所へ

私どもインサイト法律事務所は代表弁護士の第二東京弁護士会所属・大川博俊をはじめ、 経験豊富なスタッフが一丸となって、被害者のみなさまが占い詐欺被害で騙し取られたお金を取り戻すため、業者との交渉に取り組んでいます。報道事例でご紹介しましたが、占い詐欺の手口は新しいものが次々とでてきています。詐欺被害の返金交渉、解決には迅速な対応が重要です。ご自身が受けている占いが詐欺ではないかと不審に感じられたら、私どもインサイト法律事務所の相談窓口にいらしてください。営業時間外の対応も事前にご連絡いただければ対応しております。