
占いの鑑定結果は参考程度に!詐欺師は心の隙を突いてきます
占いは古くから存在しているものです。時には政治や経済、社会にまで影響を与えたこともありました。ある意味、伝統として受け継がれているところもあり、占いを信じる人がいます。未来は誰にもわかりません。結果も同様です。だから、人は人生の岐路や困難な状況に直面したとき、何か拠り所を求めるのではないでしょうか。人によっては占いがそうした状況下での心の支えとなることがあります。そこを詐欺師は突いてきます。占いを信じるなとは言いませんが、詐欺に遭わないようにするためには、占いによる鑑定結果を参考程度にとどめておくべきなのです。
人はなぜ占いの鑑定結果を期待するのでしょうか?
兵庫県明石市にある精神科専門病院、明石こころのホスピタルのブログに「占いと心理学」についての解説があります。その中で紹介されているのが「バーナム効果」「確証バイアス」「予言の自己成就」という3つの言葉です。
占いで利用されるバーナム効果
同病院の解説によれば、「バーナム効果」は「誰にでも当てはまるような一般的なことを自分にだけ当てはまると勘違いしてとらえることとしています。一番簡単な例は占い師や鑑定士が「あなたはいまお悩みを抱えていますね」という言葉です。人は誰しも悩みの一つや二つあるものですが、特に大きな悩みを抱えている時の鑑定結果でこうしたものが出てくると自分だけに当てはまっているような錯覚を起こしてしまいがちです。
確証バイアスは無意識のうちに行ってしまう考え方
確証バイアスも占いと関係のある心理学用語です。「先入観を持って物事を観察し、自分に都合の良い情報だけを集めてそれ以外を見ないようにする考え方のこと」で、自分が信じたこと、正しいと思ったこと以外の情報や意見を受け入れようとしなくなってくる状態です。占いに夢中になっている状態ではたとえほとんどの鑑定結果が外れていたとしても、わずかな部分でもあっていれば、「あの先生の鑑定結果は当たっている」となってしまうのです。また「占いに多額の鑑定費用を支払っているのだから、詐欺ということはないはず」、これもまた確証バイアスの一例となっています。
予言の自己成就、鑑定結果に自ら寄せていく行動に
同病院の解説では「根拠のない噂や思い込みであっても、それを信じて行動し続けることでその通りの結果に至るという現象」としています。この「予言の自己成就」というのは1948年、アメリカの社会学者であるロバート・K・マートンが提唱したものです。占いで血液型と星座から占った鑑定結果で性格を決めつけられ、実際には鑑定結果とは異なる性格であっても、鑑定結果の性格に自ら寄せていってしまう、予言の自己成就が占いで利用される一例です。自己暗示とも言い換えることができるでしょう。
心理学的な技法を悪用する占い詐欺の鑑定結果

占いはスピリチュアルなものであったり、あるいは一種の宗教的なものであったりもするので、利用することを全否定はできません。実際、占いによる鑑定結果が自分自身にとって肯定的なもの、将来に期待できるようなものであれば、確証バイアスでネガティブなことは耳に入ってこなくなり、自分を信じられるようになるでしょうし、希望通りの結果に向かって進むことができるでしょう。予言を自己成就できるかもしれません。
しかし、占いに注意が必要なのは、こうした心理学的な技法を逆手にとって悪用し、占いによる鑑定を受けにきた人を信じさせ、多額のお金を騙し取っている詐欺グループもいるからなのです。
占いによる鑑定結果は参考程度にしておく、鑑定結果を信じすぎないようにしておけば、占いを安全に、安心して楽しむことができるのではないでしょうか。
1月に逮捕の「占い詐欺、被害額は数億円の可能性も?

上毛新聞や読売新聞、毎日新聞は今年1月、群馬県警捜査2課などが伊勢崎市連取町の自称カウンセリング業、40歳の男性を詐欺と窃盗の疑いで逮捕したことを報じています。群馬県警は被害額が数億円に上るとみて捜査しており、共犯者の有無や余罪を調べているといいます。
トランプ占いを利用して将来を予言できると信じ込ませて
この男性が逮捕された容疑は2024年5月、群馬県内在住の20代女性に「保有している金銭に不幸を招く菌が付着しているので除菌しなければならない。身内で病気になる人がでてくる。現金が必要なときはその分を返す」などとうそをついて、同県吉岡町内でキャッシュカード1枚をだまし取り、知人男性に指示して高崎市内などの現金自動受払機(ATM)で4回にわたり、計169万円を引き出し、盗んだことだといいます。
下野新聞の報道によれば、群馬県警はこの事件で犯人の40歳の男性がトランプ占いを利用して将来を予言できると信じ込ませる手口などで、詐欺を繰り返していたとみて、全容解明を進めているようです。
鑑定結果で不安を煽るのは占い詐欺の典型的な手法
この容疑者は占いの鑑定結果において、「不幸を招く」「病気になる人が出てくる」といった言葉で、不安を煽っているのですが、これは占い詐欺の典型的な手法です。鑑定結果で不安を煽られた方に対して、「特別な力がある」「身につけることで運気が上がる」などと言って、効果のない高額な商品を売りつける、あるいは「特別な祈祷が必要」「除霊をしなければならない」などのサービスを売りつける、いわゆる霊感商法に誘い込んできます。
個人情報を悪用するケースも
また、「特別な占いのために個人情報が必要」と、氏名、住所、電話番号、クレジットカード情報などを聞き出し、手に入れた」個人情報を悪用して、別の占い詐欺行為につなげるパターンもあります。占いでよくない鑑定結果を見せられ、高額な商品やサービスを案内してきた場合、占い詐欺を疑ったほうがよいでしょう。
占い詐欺に遭わないためには

占いも全てが詐欺だということではありません。しかし、詐欺や詐欺まがいの行為を行う占い師や鑑定士、業者が少なくないのです。占い詐欺に遭わないようにするためには次のような点に注意すると良いでしょう。
不安を煽る言葉を聞いても動揺しないこと
お金を騙し取ろうとする占い師や鑑定士を装う詐欺師は必要以上に不安を煽ってきます。不幸や不運を言葉を使った鑑定結果には注意しましょう。冷静に判断しましょう。
高額な請求には応じない
占いにはもちろん有料サービスがあります。そのためある程度の料金がかかることはあります。しかし、高額な請求がある場合には詐欺の可能性を疑ってください。特に鑑定結果で不安を煽るような言葉が続いたあとに高額請求がある場合、その可能性はさらに高まります。
個人情報を安易に、必要以上に教えない
占い師や鑑定士が求めてくるのは個人情報です。しかし、必要以上の個人情報を教える必要はありませんし、教えるべきではありません。個人情報を悪用される可能性があります。
占いの結果を鵜呑みにしない

そして一番大事なことは占いによる鑑定結果をあくまでも参考程度にとどめておき、自分の判断を大切にするということです。
弁護士法人インサイト法律事務所は占い詐欺に強い
第二東京弁護士会に所属する大川博俊弁護士が代表弁護士を務める弁護士法人インサイト法律事務所は数多くの占い詐欺の事例に対応してきました。占い詐欺では多くの場合、鑑定結果で不安を煽ってきます。占いの鑑定結果が書かれているメールやその後のやり取りを見せていただければ、次にどんなパターンのメールが来るかを、私どもでこれまで取り扱った返金交渉事例から、お伝えすることができます。もし、自分は占い詐欺に騙されているかもしれない、ご家族の様子がおかしい、 騙されているようだ、占い詐欺被害に遭ったかもしれない、そう思ったときには一人で悩まず、できるだけ早く、インサイト法律事務所にご相談ください。