霊感商法に騙される人はどんな人?
「壺を売りつけられた」「印鑑を買わされた」「置物を買わされた」「数珠を買わされた」など、いずれも霊感商法の被害例として聞かれる話です。霊感商法は消費者の不安や迷信を利用して、高価な商品やサービスを売りつける詐欺的な手法です。霊能者や宗教的な指導者を名乗る人物がいる団体が「霊の力」や「運命」などを口実に不幸や不安を煽り、特定の商品を購入させます。ものを買わせるだけでなく、お布施やお祓い、祈祷の費用のような形で直接、金銭を騙し取る例もあります。霊感商法は法的に問題視され、法律が改正されるなど、対策は進んでいますが、それでも霊感商法に騙される人は後を断ちません。
なぜ霊感商法に騙される?
霊感商法は霊視商法とも呼ばれる詐欺的なやり方でものを売りつけます。ものを売りつけるだけでなく、不安感を煽り、金銭を騙し取るというやり方もあります。最近も宗教法人の僧侶が祈祷すると持ちかけ、現金を騙し取った疑いで逮捕されたという報道がありました。
岩手県警が宗教法人の僧侶を再逮捕
岩手県警と山形県警の合同捜査本部は祈祷の契約に際して必要な書類を交付していなかったことから、山形県の宗教法人の僧侶3人を逮捕していました。今月17日、県内の80年代の男性など3人から現金を騙し取った疑いで、そのうちの1人を再逮捕しています。
このニュースはNHKをはじめ、民放各局、全国版の新聞でも取り上げられたことから目にされた方もいるのではないでしょうか。報道によれば、逮捕された僧侶がこの被害に遭われた方々と知り合ったのはホテルや公共施設で開いた個人の悩みなどを聞く相談会。「祈祷で悪い因縁と原因を取り除くことが必要」「有名寺院で祈祷する」などの言葉で勧誘し、2年前の6月から今年3月にかけて、800万円以上を騙し取ったということです。この事件で逮捕された僧侶が祈祷することにしていた有名寺院と、僧侶の宗教法人とは無関係であり、祈祷したという事実もなかったといいます。
心理学学会の機関誌が紹介した霊感商法に狙われやすい例
心理学の進歩普及を図ることを目的として創立された全国規模の心理学の総合学会が日本心理学会です。学会の機関誌「心理学ワールド」第41号に帝塚山大学心理福祉学部教授の中谷内一也先生が書かれた「悪質商法にひっかかるのはなぜ?」という記事が掲載されており、そこで霊感商法についても紹介されています。
中谷内一也先生は「悪質商法はターゲットを絞ってアプローチしてくること」、「特定の属性を持つ人が狙われやすい」としています。また、「身内の突然の死といった不幸な経歴をもち、本人の裁量で動かせるお金をもった高齢者が狙われやすい」と具体的な例を挙げて、その人物像について解説されています。
私どもインサイト法律事務所へ相談いらっしゃる霊感商法被害者の方でも、悩みを相談したり、自身の不幸な経験を話したりするなど、相手に弱みをさらけ出してしまったことで、そこを突いてきた霊感商法にひっかかってしまった、という事例が見られます。
霊感商法に騙される人はどんな人?
これまで霊感商法に騙され、私どもへ相談にいらっしゃった被害者の方々にはいくつかの共通する特徴や状況がありました。日本心理学会の機関誌の記事にあったように特定の属性だったり、特定の心理状態や環境におかれていたりすることによって、霊感商法の手口に引き込まれやすくなるようです。
不安や悩みを抱えている人はターゲットにされやすい
日々の生活や将来に対する何らかの不安、あるいは自身で解決が困難な問題を抱えているような人は霊感商法のターゲットにされやすいといえます。健康問題、経済的な困難、人間関係の悩みなどを抱えている人は、霊感商法でよく聞かれる「悪霊に取り憑かれている」「問題を解決するには祈りが必要」「助けてあげられる」「開運できる」「運勢が好転する」といった言葉に引き込まれやすくなるようです。
精神的に弱っていたり、ストレスが溜まっていたりする人
精神的に疲れていたり、ストレスがたまってきていたりで、何をやってもうまくいかない、など、自分に自信を持てなくなっているような状態にあると、判断力が低下して、霊感商法で聞かれる誘い文句の「あなたに祈祷で特別な力が与えられる」「この印鑑を持てば力が発揮できる」といった言葉が大きな魅力に映り、信じてしまい、高額な商品を買わされてしまったという事例もありました。
孤立している人、孤立感を感じている人、つながりを求めている人
社会的なつながりが少なく、孤立してしまっている人、あるいは孤独感を感じている人も騙されやすいといえます。家族や友人とのコミュニケーションが少なく、人とのつながりを求めている人に対してやさしい言葉で近寄ってくると、心地よく感じてしまうこともあるのではないでしょうか。こういった方が誰にも相談できずに気がつくと騙されてどんどんものを買わされていったという事例もありました。
記憶力や注意力が落ちてきている高齢者もターゲットに
記憶力や注意力が落ちている高齢者がターゲットにされてしまうこともあります。冷静な判断ができなくなっているような人を狙って、巧みな話術で祈祷や高額な商品を勧め、お布施させたり、買わせたりしてしまったという被害者もいらっしゃいます。ご家族が気付かれ、相談にいらっしゃったのですが、誰にも気が付かれないとさらに被害は大きくなっていたでしょう。
迷信やスピリチュアルな信仰に傾倒・依存してしまっている人
占いや霊視のようなものは科学的に証明することができません。しかし、霊的な力や運命、あるいは超自然的な現象を強く信じている人がいらっしゃいます。「霊的な力があなたの人生を左右する」「あなたの背後に見えます」などの言葉を真剣に信じてしまい、霊感商法に引っかかり、高額な商品やサービスを購入してしまったという例もよく見られるパターンです。
誰でも霊感商法で騙される人になってしまう可能性があります
霊感商法は心にある弱みや心の隙間を狙ってきます。不安や心配事を抱えていたり、あるいは不幸な出来事や、悲しい出来事で平常心ではない状態になってしまったりしている人に対して、やさしい言葉や親切な言葉で近づいてきます。霊感商法に騙される人は占いや霊視のようなものを信じている人や信仰心が強いような人だけではありません。誰でも霊感商法に引っかかってしまう可能性があるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
霊感商法は騙されていることに気付かれていない
難しいのは霊感商法に引っかかっていること、騙されていることに気が付かれていない場合です。実は霊感商法の被害者に遭われている方の多くがこのパターンです。
ご家族や親族、友人・知人で何か悩んでいたり、不安を抱えていたりするような様子が見られるのであれば、一声かけてあげても良いのではないでしょうか。その一言はもしかすると霊感商法の被害から救い出すきっかけになるかもしれません。あるいは霊感商法の被害から未然に防ぐことにもなるかもしれないのです。
霊感商法に騙されないためには
霊感商法に騙されないためには「買わないと不幸になる」といった不安心や恐怖心を煽る言葉のほか、「この商品で運命を変えられる」といったような霊的な力やスピリチュアルなことを強調して買わせようとする商品やサービスには注意するということが必要です。そして、もしご自身が騙されたことに気が付いたら、周りの人に相談しましょう。霊感商法は誰でも騙される可能性がある手口です。騙されたとしても決して恥ずかしいことではありません。
霊感商法に騙されている!?弁護士法人インサイト法律事務所へご相談ください
「霊感商法で騙されていることに気が付いた」「ご家族が霊感商法に騙されているようだ」、そういう場合にはインサイト法律事務所にご相談ください。インサイト法律事務所は代表の大川博俊弁護士とスタッフが霊感商法による詐欺の事件解決に取り組み、被害者に代わって返金交渉をしてきました。霊感商法による詐欺は人の心の弱みをついてきます。そのため、誰でも騙される可能性があります。詐欺被害の返金交渉、解決には迅速な対応が重要です。私どもインサイト法律事務所では専用の相談窓口を設け、受付時間外でも対応しております。