電子決済や個人口座に支払ってしまった場合は返金されない?
詐欺の手口は複雑に、そして悪質になっていく一方です。私どものような詐欺被害の返金交渉を専門的に行っている法律事務所や弁護士法人でも返金交渉で苦労した、苦労しているという事案が増えています。詐欺師への支払いに電子マネーや電子決済を使ってしまったり、あるいは個人口座へ振り込みを行ってしまったりといった場合、詐欺を働いた人物や詐欺グループを特定するのが非常に困難になるからです。
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電子決済システムを悪用した詐欺の手口は?
PayPayやメルペイ、楽天ペイなどの電子決済システムはすっかり身近になり、生活に溶け込んでいます。しかし、身近になった分、この電子決済システムを悪用した詐欺が行われています。中でも最近、増加傾向にある詐欺のパターンがネットショッピングで、購入場面だけではなく、欠品による返金の場面で決済システムを悪用するというものです。
この手口は昨年、国民生活センターが「新手の詐欺」として、注意喚起を呼びかけました。
この詐欺はまず通販サイトでネットショッピングをした購入者に商品の代金を振り込ませます。振り込ませたら、購入者に対して、商品が在庫切れ、品切れを装い、返金をするとメールあるいは電話で連絡してきます。その後のやりとりにはLINEを指定してきます。返金方法にスマホのアプリによる電子決済を指定してきて、相手の言われるがままに操作すると、返金してもらうはずが逆に送金させられてしまっているというのが、この詐欺の流れです。
ネットショッピングで商品を購入した消費者が、販売業者から「決済アプリを使って返金する」と言われ、スマートフォンで返金手続きを誘導されているうちに、「返金」してもらうはずがいつの間にか「送金」してしまっていた、という新手の詐欺に関する相談が全国の消費生活センター等に寄せられています。「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑ってください!
出典:【新手の詐欺】「○○ペイで返金します」に注意!-ネットショッピング代金を返金するふりをして、送金させる手口-(国民生活センター 2023年9月27日公表)
アプリによる電子決済の場合、犯人の追跡が困難であり、詐欺で騙し取られたお金が返金されないというケースが多いのでご注意ください。
副業詐欺や投資詐欺では個人口座へ振り込ませるケースが増加
最近、ご相談いただいている副業や投資など様々な詐欺案件でも、追跡が困難な電子マネーや電子決済による送金、または個人口座へ振り込ませるという手口が多くなっています。
副業で高収入を得たとアプリ上で錯覚させて手数料を請求してくる詐欺
近年、ご相談が多い内容をご紹介しましょう。副業やショップ運営を誘い、アプリ上で高収入が得られたと錯覚させ、その報酬を受領するために手数料を請求し、振り込ませます。これはいわゆるタスク詐欺と呼ばれるものになります。この手口を使ってくる詐欺グループは多くの場合、個人口座です。名義人となっているのは外国人のケースが多くみられます。個人口座を指定されていると、私どもでも返金できないどころか交渉までも辿り着けないことがあります。これは詐欺を働いた相手方の特定ができないからなのです。
40代の男性がマッチングアプリで知り合った女性は副業詐欺師
これから紹介するのは相談いただきましたが、返金されなかった事例になります。被害に遭ったのは40代の男性。マッチングアプリで知り合った女性に「高額収入が期待できる副業がある」とショッピングサイトの開業を勧められ、始めてみることにしました。この女性に男性にオンラインショップを開設するサイトを指定。そのサイトで自身のショップを立ち上げてみたところ、瞬く間に売り上げが発生。その成功に喜びます。
ある程度貯まってきたところで男性は売上金を引き出そうと試みます。しかし、このサイトを運営している側から、売り上げ金額が大きいため、引き出しに際して、まずは20%の手数料を支払って欲しいといわれました。そこで、言われるがままに手数料を支払ってしまいました。
さまざまな名目で手数料を支払い、総額300万円の被害に
手数料を支払っても売上金を引き出すことはできず、その後も送金代金や税金など、さまざまな名目で次々と費用を請求され続け、振込金額は300万円になっていまっていました。ここでようやくご自身が騙されたことに気付き、私どもインサイト法律事務所の相談窓口にいらっしゃいました。しかし、ご相談いただいた際、この返金交渉はお引き受けできないという返事をせざるを得ない結果となりました。男性が振り込んでしまった振込先口座がいずれも個人口座であったためです。
返金交渉が困難なのは相手を特定できないため
振込先の口座名義が企業名ではなく個人名の口座で、ウェブサイトの会社概要に表示された代表者などとは関係のない個人名であると、私どもでも詐欺を働いた相手を特定することができません。もちろん可能性がゼロではないので、まずはご相談いただきたいのですが、個人口座に振り込まれてしまっていた場合や電子マネー、電子決済で支払われていた場合の返金交渉はかなり困難だと思ってください。
個人口座へ振り込まれていても可能性はゼロではありません
詐欺に遭い、相手の指示に従って個人口座へ振り込まれてしまった場合、ご自身で返金されないものと決めつけ、返金を諦める判断をする前に、まずは警察に届け出て、相談してください。同時に、詐欺被害相談窓口を設けている国民生活センターや最寄りの消費者生活センター、あるいは私どものような詐欺被害の返金交渉を専門的に行っているような法律事務所や弁護士法人へもご相談ください。
詐欺被害に遭わないためには
こうした詐欺に遭わないためには以下のことにご注意ください。
- インターネットショッピングで品切れ、在庫切れになっている場合、返金に電子決済アプリを指示してきた場合は詐欺を疑うこと
- 高額収入の副業の誘いは詐欺のケースが少なくありません。もちろん本当に儲かる場合もありますが、楽をして儲かることはありません
- ネット上で行ったビジネスに対してお金を引き出す前、手数料や手続き料などの名目でお金を受け取る前に何らかの費用を請求してくるものはほぼ間違いなく詐欺です
詐欺の被害の返金、あきらめないでください!ご相談はインサイト法律事務所へ
ネットで行われる詐欺はますます悪質になってきており、誘い込む手口も巧妙になっています。そのためご自身が詐欺に遭われていることに気が付かないまま、多額の支払いをしてしまっているケースが後を断ちません。また、お金を騙し取る方法も電子マネーや電子決済、個人口座など、詐欺を働いた側を特定できないようにするような厄介な手法を使ってきています。
わたくしども弁護士法人インサイト法律事務所は詐欺被害に遭われ、お金を騙し取られた方々へ返金させるため、詐欺師との交渉に取り組んでまいりました。 代表弁護士の第二東京弁護士会所属 大川博俊をはじめ、事務所スタッフたちは詐欺被害に遭われた多くの方々に寄り添い、解決に向けて取り組んでいます。詐欺によって騙し取られたお金は全額ではないかもしれませんが、取り戻せる可能性があります。わたくしどもインサイト法律事務所は詐欺被害に対する無料相談窓口を開設しています。 着手金は無料です。 騙されたかもしれない、騙されていた、そういった場合、できるだけ早くご相談にいらしてください。