詐欺被害で騙し取られたお金、どうすれば戻ってくる?
SNSを利用した投資詐欺、医療費や保険金が戻るという嘘でお金を騙し取る還付金詐欺などに加えて、オレオレ詐欺や架空請求詐欺など、詐欺被害報道があとを断ちません。いわゆる振り込め詐欺については「振り込め詐欺救済法」が制定されており、救済措置がありますが、適用については預金口座が利用されたもの、などのさまざまな条件があって、適用に辿り着けなかったという例も耳にします。
詐欺被害で騙し取られたお金はどうすれば戻ってくるのでしょうか。
目次
特殊詐欺の被害は増加の一途
警視庁は2024年2月、「令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」を発表しました。親族、警察官、弁護士、被害者などを装い、親族が起こした事件・事故に対する示談金を名目にして金銭などを騙し取る「オレオレ詐欺」のほか、預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、還付金詐欺など、特殊詐欺の件数は前年に比べて、総認知件数、被害額は共に増加となりました。
令和5年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は19,038件(+1,468件、+8.4%)、被害額は452.6億円(+81.8億円、+22.0%)と、前年に比べて総認知件数及び被害額は共に増加。
出典:警視庁「特殊詐欺認知・検挙状況等について」
特殊詐欺の被害は増加の一途を辿っています。それにともなって、私どもへの相談も詐欺被害についてのご相談も増えています。
振り込め詐欺救済法でお金は戻ってくる?
2003年頃からこうした特殊詐欺の被害が拡大していく中、国は2008年、被害者を救済すべく、「振り込め詐欺救済法」を施行しています。この法律は「振り込め詐欺等の被害者に対する被害回復分配金の支払手続等を定める法律」です。
口座名義人の権利を消滅させて被害回復分配金に
具体的には、金融機関が振り込め詐欺等により資金が振り込まれた口座を凍結し、 預金保険機構のホームページで口座名義人の権利を消滅させる公告手続を行った後、 被害者の方から支払申請を受け付け、被害回復分配金を支払うことなどが定められています。この救済法は被害額の全額を国や金融機関が補填するというものではないことに注意が必要です。
被害回復分配金を受け取るためには、申請期間中に申請しなければなりません。申請の受付は、振り込んでしまった口座を金融機関が凍結して、失権という手続を行った後に開始される支払い手続の期間内となっています。振込先の金融機関に被害を申し出た方には、金融機関から個別に申請期間が連絡されることになっています。
被害者の方へ分配される額は、振込先口座が凍結された時の口座残高が上限となります。 振込先口座の残高が振り込んでしまった金額より少ない場合、被害を回復、つまり返金してもらえるのは被害総額の一部となります。同じ詐欺の被害者が複数人になっていた場合、被害者それぞれの被害額と振込先口座の残高に応じて回復分配されることになります。振込先口座の残高が1000円未満の場合は、支払いの対象とはなりません。
振り込め詐欺救済法で対象となる詐欺は?
この振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結は、競馬詐欺や占い詐欺などの場合も、オレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金詐欺などと同様に振込みを利用して行われた詐欺などの犯罪行為であれば、詐欺を働いた相手の口座凍結をさせて、被害回復分配金支払いの手続きを進めることはできます。しかし、競売詐欺や占い詐欺のような場合には悪質性を判断しにくいという理由から警察や金融機関で対応を断られることもあるようです。
また、口座凍結に成功しても、詐欺業者側が一歩先を読み、振込手続きを確認したら、口座からすぐに引き出すなどして騙し取ったお金は別の口座などに移動させてしまっているということがほとんどです。その結果として、口座凍結できても、残高が残っていない、返金されない、というケースの方が多いような状況にあります。
振り込め詐欺救済法による口座凍結がマイナスに働く場合も
また、この振り込め詐欺救済法による口座凍結がマイナスに働いてしまう場合もあるので注意が必要です。交渉が可能だったかもしれないような業者に対して、口座凍結の手続きを行ったことによって、態度を硬化させてしまうことになり、返金の交渉や返金額に影響が出てしまうようなこともあります。
詐欺を働いた相手が返金交渉可能な業者かどうか見極めるため、口座凍結手続きと同時に、詐欺の返金交渉に関して経験豊富な法律事務所や弁護士法人などに相談することをお勧めします。
また、詐欺を行った相手方を特定できない、詐欺を行った相手が交渉に応じてくれないなどの場合にはやむを得ずということになりますが、まず口座凍結をしてもらい、口座に残高があれば分配金支払いの手続きをする必要があります。しかし、分配金を申請するためには期限や準備する書類などもあるため、まず警察へ連絡し、振込先の金融機関に連絡をしてください。そこからは金融機関の窓口に聞きながら行うことになります。
詐欺の手口、振込だけではない!
詐欺被害に遭われた方が口座凍結でお金を取り戻すことができるのは口座振込を使われた場合だけです。詐欺でお金を騙し取るため、コンビニなどで取り扱っている電子マネーを悪用している場合も少なくありません。
電子マネーが使われるケースが増加
特殊詐欺で騙し取る手法には、電子マネーを悪用したケースもあります。警察では電子マネー型対策として、コンビニエンスストアと連携し、高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛けや、購入した電子マネーのカードなどを入れておく封筒に注意を促す文言を記載したり、あるいは発行や申し込みを行う端末機の画面での注意喚起をしたりといったことなどの対策を実施しています。
しかし、「令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」によれば、この電子マネーを悪用したケースは増加傾向にあるようです。実際、私どもにも「電子マネーを購入してしまった」という相談事例が少なくありません。
電子マネー型の認知件数は3,370件(+1,954件、+138.0%)、被害額は21.5億円(+11.5億円、+116.1%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は17.7%(+9.6ポイント)。
出典:警視庁「令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」
電子マネーや有料ポイントを消費させられた場合
電子マネーが使われている場合以外にも有料ポイントを購入させ、消費させるといった手法も多く見られます。こうした場合には業者に対して、返金を求めていくほかありません。しかし、相手が特定できない、相手を特定できても言葉巧みに言いくるめられるなど、ご自身で業者と直接の返金交渉を行うことは困難です。
口座振込でない場合には国民生活センターや消費生活センター、私どものような法律事務所や弁護士法人など、詐欺被害相談の窓口を開設しているところへできるだけ早くいくことが重要です。
詐欺被害のお金は戻ってくる?ご相談はインサイト法律事務所へ
詐欺被害に遭われた方は一刻も早く騙し取られたお金を取り戻したいと考えるのは当然のことです。口座振り込みをさせられていた場合、振り込め詐欺救済法に基づいて、口座凍結は返金させる手段の一つですが、業者に先手を打たれていたというケースも少なくありません。また電子マネーや有料ポイントの購入・消費などでは業者と返金交渉を行うほか、お金を取り戻す手段はありません。インサイト法律事務所では代表弁護士の第二東京弁護士会所属・大川博俊をはじめ、経験豊富なスタッフが一丸となって、被害者のみなさまが詐欺被害で騙し取られたお金を取り戻すための支援、業者との交渉に取り組んでいます。詐欺被害に遭い、騙し取られた際の返金交渉はインサイト法律事務所にご相談ください。