詐欺被害の返金交渉、その高い返金率は本当?
副業を装った詐欺、いわゆる「副業詐欺」の被害が急増しています。SNSなどを利用し、簡単な作業で高額収入をうたった広告で勧誘し、お金を騙し取るという手法です。支払わせる方法もクレジットカード決済で簡単に、気軽に決済できてしまうことが多いことから、数十万円、あっという間に騙し取られてしまうのです。また最近は偽のショッピングサイトで詐欺を行ってお金を騙し取り、返金を求めるとそこでもお金を騙し取るという、極めて悪質な「返金詐欺」の被害が多く見受けられます。返金詐欺の場合、騙し取るために使われるのが電子マネーと決済アプリ。ここでも決済アプリは送金が簡単なことから、あっという間に数十万円が騙し取られてしまいます。
こうして詐欺でお金を騙し取られた被害者のほぼ全員から聞かれる質問が「返金交渉をお願いするとどのくらいの可能性で戻ってくるでしょうか」「被害額の何パーセントくらい返ってきますか」というものです。
目次
詐欺被害における返金率とは
さまざまな詐欺の手口で被害に遭った被害者の方が相談にいらっしゃった際、私どもが必ず聞かれる質問が「返金率」です。
詐欺被害の返金交渉を行う法律事務所や弁護士法人、司法書士法人の中には高い返金率をPRしているところが見受けられます。詐欺被害で使われている「返金率」という言葉には二つの意味があります。一つは詐欺被害で返金される確率という意味の「返金率」、もう一つが返金交渉を行った結果、被害総額のうち何割が戻ってくるのかという意味の「返金率」です。
返金交渉はどこを着地点にするかによってどのくらいの可能性で戻ってくるのか、被害総額のうち何パーセント、何割戻ってくるのかというのは異なります。したがって、わたくしどもインサイト法律事務所では具体的な返金率などをうたっておりません。
詐欺で騙し取られたお金は全額返金される?返金されない?
詐欺で騙し取られたお金は全額返金してもらえるのでしょうか。これは被害に遭われた方が一番気になるところでしょう。被害に遭われた方からすると、お金を騙し取られたのだから全額返金して欲しいと思うのは当然であることは私ども理解しています。しかし、詐欺被害全般にいえることですが、全額返金されることは稀だと思ってください。
返金交渉で安易な妥協を薦める弁護士や法律事務所も
詐欺を働いた業者側は返金しないためにありとあらゆる理由をつけてきます。ようやく観念して逃げきれないと考え、交渉のテーブルについてきたときには返金額をできるだけ抑えようと考え、返金額という部分で必ず争ってきます。
その際、被害者側が要求する返金額を下げれば、つまり返金される金額で妥協すれば、業者側から返金される可能性という意味の「返金率」は上がります。
返金交渉を請け負ったものの、ノウハウがないために、詐欺を働いた業者からの言いなりになってしまい、被害者に対して、妥協する金額を下げさせて、解決を急がせてしまったという事例を耳にすることがあります。
詐欺業者を撲滅するためにも
多くの詐欺被害の返金交渉に取り組んできた、専門的に返金交渉を行っている法律事務所であれば、これまでの類似した事例から、相場を割り出し、被害者の方が納得できる金額、条件などをもって、交渉に臨んでいます。
詐欺の返金交渉で相談した際、理由を明確にせず、妥協する金額を下げさせ、一方的に解決を急がせるような法律事務所や弁護士には注意が必要です。詐欺被害の方には安易に妥協しないで欲しいと考えております。返金交渉で安易に妥協しないことが、詐欺業者に対して、逃げきれないと思わせることになり、妥協しない被害者が増えれば、撲滅するためには重要です。
返金される金額で妥協は必要?
一方、返金される金額という意味での「返金率」ではどこまで妥協すればよいのでしょうか。被害総額を全額、返金させることは困難なのでしょうか。
詐欺被害において、全額返金されることは稀だと解説しましたが、可能性がゼロではありません、実際、わたくしどもインサイト法律事務所が返金交渉を行い、全額返金された事例もあります。
例えば副業詐欺で最近増えているパターンが情報商材を活用したものです。マニュアルの購入やサポート費用をクレジットカードで決済させるという手口です。この場合、高額の被害でも全額返金に成功した事例もあります。またクーリングオフ期間での返金交渉の場合も全額返金してもらえるケースは少なくありません。
このほか、サイトへの支払金額が10万円前後である場合や、サイト自体がまだできて日が浅い、新しい場合には全額返金の可能性があるかもしれません。
ある程度の妥協が必要な場合もありますが、返金交渉を専門的に行っている法律事務所では可能性がある限りは全額返金を目指しています。まずは相談にいらっしゃっていただきたいと思います。
詐欺の被害額を全額取り戻した副業詐欺での返金事例
ここで、わたくしどもインサイト法律事務所が副業詐欺の被害で全額返金させた最新の事例についてご紹介いたします。
神奈川県在住、60代の女性はインターネット上で見つけた「誰でも簡単に稼げる」「在宅でできる」と謳った副業関連の広告をみて、興味を持ち問い合わせをしました。
担当者は電話で「LINEでスタンプを送るだけ」「100万円を超える収入」などと説明してきたそうです。被害者に遭われた方はマニュアル代やサポート費用といった名目の代金、45万円をクレジットカード決済で支払いました。
しかし、費用の支払いを行った後、急に相手方の対応が悪くなりました。マニュアルは送られてきたものの、作業に関する質問などに対する返信がこないなど、当初約束されていたサポートは一切なかったのだそうです。
女性は不審に思い、インターネットで調べると、詐欺など悪評や口コミが数多く記載されていたのを見つけ、わたくしどもインサイト法律事務所へ相談にいらっしゃいました。
わたくしどもは運営会社およびクレジットカード決済代行会社に対して通知を送付し、交渉を開始。カード決済の取り消し、つまり支払金額の全額を返金させることになりました。
返金詐欺もあるので要注意!決済アプリで返金のはずが
偽のネットショッピングサイトでお金を騙し取るだけでなく、返金を求められると、決済アプリで返金するように見せかけ、そこでもお金を騙し取るという悪質な手口による返金詐欺の被害が増加傾向にあります。
ネットショッピングで買い物をしたが届かない
今年7月、国民生活センターは急増する返金詐欺の事例を取り上げ、注意喚起を促しています。被害に遭われたのはインターネットの検索で見つけたショッピングサイトで洋服を購入された10代の方。支払いはプリペイド型電子マネーのみとなっていたため、被害者はコンビニで電子マネーを購入し、支払いを行うため、そのカード情報を詐欺師側に伝えてしまいました。この時点で被害者は電子マネー分のお金を騙し取られていたのです。
返金されない!それどころかさらに・・・
後日、業者側から被害者に「在庫がないため、返金する」という連絡があり、業者とのやりとりはLINEで行うことになります。業者は返金を決済アプリのアカウントに行うと申し入れ、QRコードを被害者に送りつけてきました。指示された通りに「返金コード」を入力して送ったところ、これが返金ではなく、送金の金額だったのです。被害者は10万円近くのお金を、詐欺師の決済アプリアカウントへ送ってしまうことになってしまっていました。ここで返金詐欺が行われたのです。
返金されないどころか、さらに騙し取るという手口は昨年あたりから目立ち始めています。
返金させるために!本当の意味での返金率を高めるために!
詐欺で騙し取られたお金を返金させるために、また、詐欺被害に対する返金の可能性という意味での「返金率」、被害総額のうち返金される額という意味での「返金率」を高めるために、被害者はどうすべきなのでしょうか。
詐欺に遭ったと気がついたら即座に相談窓口へ
まず重要なのが迅速な行動となります。副業詐欺被害の事例のようにクレジットカードで決済が行われている場合、交渉が早ければカード決済の取り消しを求めることができます。
また、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律の特別商品取引法(特商法)に基づいてクーリングオフ期間が設けられていれば、契約の申し込みや契約の締結をした場合でも、契約を再考できるようになっており、期間中であれば、無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりすることができます。
クレジットカード決済にしても、クーリングオフにしても、迅速な対応が必要です。騙されたのではないかと気が付いたときには即座に国民生活センターや最寄りの消費生活センター、法律事務所などの相談窓口へ行ってください。
詐欺の証拠を保全してください
詐欺の返金を迅速に行わせるために、少しでも返金率を高めるためには勧誘やその後の業者側の対応に違法行為があったことを明らかにする必要があります。そこで重要になるのが証拠保全です。これまでにわたくしどもインサイト法律事務所からアドバイスさせていただいており、繰り返しになりますが、以下のようものを証拠として保全してください。
- 勧誘を行っているサイトをスクリーンショットなどの機能をつかって画面撮影し、保存
- サイトのメッセージ機能でやりとりをしている場合にはその画面も撮影し、保存
- メールでやりとりをしている場合にはメールを保存
- 郵送で送られてきた書類やチラシなどがあれば保管
- 銀行への振り込み明細、コンビニでの電子マネーの決済明細、クレジットの決済記録
最近は業者側も証拠を残さないよう、電話での勧誘に切り替えているケースが増えています。電話をたびたび録音している人はほとんどいないからです。しかし、電話で勧誘されていたときに、メモをしていた場合にはそのメモが証拠になることもあります。
ご自身が被害にあった詐欺に関わるメモや記録はすべて証拠にできる可能性があるので、ご自身で判断せず、相談の際、何が残っているのかをご説明いただければと思います。
詐欺の返金交渉、諦めずにインサイト法律事務所へ
証拠が残りにくい勧誘を行うなど、詐欺の手口はますます巧妙になっています。こうした詐欺行為を撲滅するためには、返金交渉を行い、少しでも多く取り戻すこと、そして詐欺行為が無駄であることを業者に認識させる必要があると考えます。
詐欺に遭われた被害者を救済するべく、インサイト法律事務所では代表弁護士の第二東京弁護士会所属・大川博俊をはじめ、経験豊富なスタッフが一丸となって、被害者のみなさまの返金交渉に取り組んでいます。副業を紹介するという体で行われた詐欺で騙し取られた際の返金交渉は諦めないでください。簡単に妥協しないでください。